秋田新幹線

青線は在来線直通区間

秋田新幹線(あきたしんかんせん)は、ミニ新幹線方式により、盛岡駅から秋田駅までを結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の路線およびその路線を走行する列車の通称である。盛岡駅から大曲駅までは田沢湖線、大曲駅から秋田駅までは奥羽本線である。なお、配線の都合により大曲駅でスイッチバックを行う。

盛岡駅 - 東京駅間で東北新幹線との直通運転を行っているため、広義では「こまち」が走る東京駅 - 秋田駅間や「こまち」(列車)自体も秋田新幹線と呼ばれる。以下、特記なき場合は狭義(盛岡駅 - 秋田駅間)について記述する。

目次

概要

1997年全国新幹線鉄道整備法に基づかない新在直通方式のミニ新幹線として開業した。同法では「主たる区間を200km/h以上の高速度で走行できる幹線鉄道」を新幹線と定義しており、法律上は、盛岡駅 - 秋田駅間はあくまで在来線であって新幹線ではない。

在来線区間のほとんどが、秋田新幹線の名称の通り秋田県内であり、北東北を横断するような線形である。奥羽山脈を越えるためトンネルや曲線区間が多く、この区間での高速運転は難しい。

歴史

沿革

  • 1997年(平成9年)3月22日:開業。E3系電車5両編成で運行。東北新幹線内は200系E2系と連結。
  • 1998年(平成10年):全列車が6両編成に増結。
  • 1999年(平成11年)12月4日:東北新幹線内の連結相手が200系からE2系のみとなる。
  • 2001年(平成13年)9月16日:開業以来の利用者数が1,000万人に達する。
  • 2006年(平成18年)
    • 1月5日:日本海側を中心とした大雪の影響で、開業以来初めての終日運休。
    • 2月11日 前日に発生した「こまち3号」の雪崩による抱き込み[1]にともなう除雪作業の影響で、2度目の終日運休。
    • 3月11日:開業以来の利用者数が2,000万人に達する。
  • 2007年(平成19年)
    • 3月18日:全車両を禁煙とする。
    • 4月30日・5月6日:全国花火競技大会(大曲の花火)開催時をのぞいて初めての大曲駅始発列車が運転される(こまち26号、5026M - 5026B)。
  • 2010年(平成22年)2月2日 新型車両E6系の投入が発表される。2013年の営業運転開始を目標に試運転を行う。車体構造上の理由による編成定員の減少を防ぐため、1編成中の車両数はE3系の6両に対し、1両増の7両に増やされた。このE6系の乗り入れ準備工事として、従来6両編成までしか対応できなかった秋田駅と大曲駅ではホームを1両分延長する工事を行い、両駅共に同年夏頃までに完成した。
  • 2011年(平成23年)
    • 3月11日:東北地方太平洋沖地震が発生。地震直後から全線で運転を見合わせ。
    • 3月18日:盛岡駅 - 秋田駅間で4往復のみで運転再開[2]
    • 3月22日:盛岡駅 - 秋田駅間で5往復に増発[3][4]
    • 4月29日:東北新幹線運転再開に合わせ秋田駅 - 東京駅間の全線で運転再開。これにあわせて有志が九州新幹線のCMに倣い下り一番列車に沿線から手を振る企画を実施(「祝!九州#反響」も参照)。
    • 11月19日:東北新幹線内の併結相手の一部をE5系へ置き換え開始。

開業に際してのイベント

秋田新幹線は1997年3月22日の開業にあたってイベントが行われた。

1997年3月には秋田駅構内留置線に車両を留置し、「夢空間」、ジョイフルトレインオリエントサルーン」「シルフィード」、建築限界測定車オヤ31形)、電気機関車(ED75 777)、トロッコ仕様の貨車(トラ形無蓋車)を展示公開した「おもしろ列車大集合」が実施された。また、同貨車を用いたトロッコ列車を「トロッコなまはげ号」(男鹿線)・「トロッコりんごっこ号」(五能線)・「トロッコトタトタ号」(花輪線)として、各線へ向けて運転した。

同年7月19日から21日にかけて開業記念イベントのフィナーレとして、秋田駅 - 横手駅間に「SLあきた号」が運行された(牽引は高崎運転所(現・高崎車両センター高崎支所)所属の蒸気機関車 (D51 498)、客車は南秋田運転所所属の12系6両)。この列車は「こまち」との併走が行われ、駅などで配布されたパンフレットには併走ポイントが記載された。なお、ミニ新幹線車両との併走はこの時限りとされていたが、のちに何度か実現している[5]

運行形態

E3系電車6両編成を使用した「こまち」が運転されている。

田沢湖線内はすべて単線なので、新幹線列車が普通列車と行き違いのために待ち合わせをすることがある。大曲駅では、田沢湖線と奥羽本線の接続配線の都合によりスイッチバックする。

秋田新幹線開業前の奥羽本線は一部複線化されていたが、開業に際して複線部分は上り線を新幹線用の標準軌に改めたため、線路が二つ並んでいても、両方とも単線である。このため、普通列車と新幹線が、同じ方向に走ることもある。なお、神宮寺駅 - 峰吉川駅[6]のみ新幹線同士の行き違いのため狭軌側を三線軌条にしている。

全国花火競技大会(大曲の花火、大仙市)開催時は、大曲駅発着の臨時列車が運行されている。

運行上のネック

秋田新幹線(広義)は、開業以来順次高速化がはかられ、在来線区間は最高速度130km/h、東北新幹線区間では最高速度275km/hでの運転が可能になった。これにより、一部の列車(東京発下り最終と秋田発上り始発などの数本のみ)は、東京駅 - 秋田駅間の所要時間を4時間以内で運行している。しかし、それ以外の大半の列車の所要時間は4時間以上となっているため、さらなる高速化が以前よりたびたび県議会や地元メディアにおいて議論の的となっていた。特に、秋田・岩手県境の仙岩峠区間ではカーブと勾配の影響で高速運転ができないため、秋田県では峠付近の高速化の検討がなされたこともあった。その後、2013年春から2014年春にかけて車両置き換えによる東北新幹線区間の高速化が段階的に実施されることとなり[7]、東京駅 - 秋田駅間で平均15分程度の所要時間短縮が見込まれている。また、同区間では保安装置をDS-ATCに更新したことにより、導入前に比べて数分程度の所要時間短縮も図られている。

田沢湖線の全線および奥羽本線区間の多くが単線のため、停車駅でない駅や信号場での対向列車到着待ち(運転停車)も多く、普通列車を待ち合わせするために停車を強いられることもある。そのため、複線区間の増設が県議会や市町議会で議論として挙がることが度々ある。

雫石駅 - 田沢湖駅周辺は豪雪地帯であり、大量の降雪による影響で在来線区間の列車の遅延が発生しやすい。この影響による接続(連結)待ちのため盛岡駅で上り「こまち」と連結する上り「はやて」の遅れを招き、その結果、過密ダイヤとなっている東京駅 - 大宮駅間で線路を共有する上越新幹線北陸新幹線長野新幹線)にも列車の遅れなど影響がおよぶこともある。また天候によっては、同区間などの運行を中止する場合がある。下り列車で盛岡駅 - 秋田駅間が区間運休となった場合、盛岡駅で切り離された「こまち」車両は、盛岡新幹線車両センターまで臨時回送される。 なお、平成18年豪雪の際、列車が運行中で立ち往生し、乗客が車内に缶詰め状態にされたことがある。また、運行を見合わせた際に代替バス等が手配されなかった場合[8]、乗客の混乱に拍車が掛かることもある。

大曲駅には配線の都合上スイッチバックがあるため、大曲駅 - 秋田駅間は走行方向が逆となる。また、大曲駅で方向転換する分だけ僅かながら所要時間が延びている。

以上より、東北新幹線区間では、高速化のための各種施策が続々と着手され実現されつつあるが、肝心の秋田新幹線(狭義)区間においては未だに構想の域を出ていない。

車両

秋田新幹線で運転されている車両は次の通り。

現用車両

営業車両

  • E3系 - 6両編成(開業時は5両編成)

事業用車両

編成記号の「S」は、系列に関係なく非営業用車両全般に用いられている。

導入予定車両

  • E6系 - 7両編成。2012年度末より運転開始予定で、E3系を置き換える予定(詳細は後述)。

過去の車両

試験用車両

  • E955形 (Fastech360Z) - 試験用車両

駅一覧

  • 正式路線名は盛岡駅 - 大曲駅が田沢湖線、大曲駅 - 秋田駅が奥羽本線。駅名は、秋田新幹線「こまち」が停車する駅のみ示し、同じ線路・駅を共用している田沢湖線・奥羽本線の列車のみが停車の駅は省いている。
  • JRの路線名は、その駅に接続している正式路線名のみを記す。
  • 乗車人員は東日本旅客鉄道の駅のもの。
駅名 東京
からの
営業
キロ
盛岡
からの
営業
キロ
2007年度
乗車人員
(1日平均)
接続路線 所在地
盛岡駅から東北新幹線東京駅まで直通運転
盛岡駅 535.3 0.0 18,094 東北新幹線・東北本線山田線
いわて銀河鉄道線
岩手県 盛岡市
雫石駅 551.3 16.0 626   岩手郡雫石町
田沢湖駅 575.4 40.1 467   秋田県 仙北市
角館駅 594.1 58.8 746 秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸線
大曲駅 610.9 75.6 2,273 奥羽本線 大仙市
秋田駅 662.6 127.3 12,245 奥羽本線・羽越本線 秋田市

なお、秋田新幹線各駅と東北新幹線各駅とを通しで乗車する場合(盛岡駅での「こまち」-「はやて」「やまびこ」乗継を含む)の特別急行券については東北新幹線との乗り継ぎ料金制度があり、秋田新幹線内のみ乗車する場合の特別急行券については、在来線のA特急料金が適用される。

需要

交通需要について国土交通省2000年に調査した都道府県間鉄道旅客流動データによると、秋田県を目的地とする鉄道旅客のうち、東北新幹線沿線(東京都埼玉県栃木県福島県宮城県岩手県)からの年間旅客数は69.0万人であった。これらの各出発地のうち最も旅客数が多かったのは宮城県の28.1万人、次いで東京都の23.3万人、岩手県の8.8万人である。一方、秋田新幹線沿線(秋田県)を出発地として東北新幹線沿線を目的地とする年間旅客数は68.3万人であった。これらの各目的地のうち最も旅客数が多かったのは宮城県の30.5万人、次いで東京都の18.4万人、岩手県の8.1万人である。

沿線各都県間の旅客流動状況(2000年)は以下のとおり。

秋田新幹線沿線各都県間旅客流動状況(2000年)
目的地\出発地 東京圏 栃木県 福島県 宮城県 岩手県 合計
秋田県 387 26 45 281 88 827
出発地\目的地 東京圏* 栃木県 福島県 宮城県 岩手県 合計
秋田県 423 31 37 305 81 877

(単位:千人/年)
*東京圏:東京都埼玉県千葉県神奈川県とする。

将来

新型車両導入とスピードアップ

新型車両への置き換えによるスピードアップが予定されている。

2013年(平成25年)の春よりE3系の後継車両となるE6系への置き換えを開始し、東北新幹線内での営業最高速度を275km/hから300km/h(E6系を使用する列車のみ)に引き上げる予定である。また、2014年(平成26年)の春にはすべての「こまち」充当列車をE6系に置き換え、東北新幹線内での営業最高速度を320km/hに引き上げる予定である[1][2][3]。 なお、秋田新幹線内の営業最高速度、所要時間は現行どおりの見込み。

秋田以北への延伸構想

秋田新幹線は鉄道利用志向の高い県民性などの理由により利用状況は順調であるが、田沢湖線と奥羽本線を改軌した結果、盛岡から秋田を経由して青森方面への直通が不可能となり、かつて同区間を直通していた特急「たざわ」は、すべて秋田駅 - 青森駅間の「かもしか」となり区間短縮された。そのため、盛岡方面からの直通列車が無くなった能代市では、同新幹線の東能代駅までの延伸をJR東日本に要望している。しかし、奥羽本線(秋田駅 - 青森駅)は日本海縦貫線の一部であり改軌が難しく、さらにJR東日本が軌間可変電車に懐疑的で開発に参加していないことから、実現は厳しいと見られている上に、沿線の議論も盛り上がりがない。さらには北秋田市大館能代空港があること、東北自動車道を利用し、盛岡で新幹線に連絡する高速バスが高頻度で運行していること、そして改軌の費用対効果が希薄であるなどの理由から、必要性が薄いという意見もある。

脚注

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  1. ^ JR東日本の新幹線 13年3月メドに「E6系」導入 - 読売新聞秋田版、2009年6月18日。
  2. ^ 引用エラー 無効な <ref> タグ: jreast20071104という名前の引用句に対するテキストがありません。
  3. ^ 新型高速新幹線(E6 系)量産先行車について (PDF) - 東日本旅客鉄道、2010年2月2日

関連項目

外部リンク

  • 新幹線ご利用案内 - JR東日本秋田支社

最終更新 2012年5月16日 (水) 12:11 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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